河原 行郎
大阪大学大学院医学系研究科 教授
朴 昭映
大阪大学免疫学フロンティア研究センター 特任准教授
哺乳類においては、RNAセンサータンパク質が外来性2本鎖RNAを感知することで免疫応答が惹起されますが、一方で内因性2本鎖RNAを感知しません。これは、内因性2本鎖RNAがRNA編集を受けてイノシン化修飾されていることに起因しており、実際、RNA編集活性が低下すると自然免疫が異常活性化します。つまり、内因性2本鎖RNAは生命システムを攪乱するRNA (perRNA)となる潜在性を持っていますが、通常はイノシン化修飾されて押さえ込まれていると言えます。しかし、perRNA化を回避するためにどの位置にイノシンが挿入されることが必要なのか不明です。本研究では、perRNAとなる内因性2本鎖RNA構造と、perRNA化を回避するためのイノシン化修飾トポロジーの全容を解明することを目指します。また、得られた成果からAIを駆使して、ヒトやウイルスにおける2本鎖perRNAと、これを抑制可能なイノシン挿入位置を推定できるようにします。これらの研究を通して、修飾RNAが免疫サーベランスをすり抜ける機構を解き明かし、攪乱RNA学創成領域に高く貢献します。
