翻訳を撹乱するperRNAの識別と抑制機構の解明

三嶋 雄一郎

三嶋 雄一郎

京都産業大学 生命科学部 教授

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ウイルスなどの外来mRNAやゲノムの多様化によって生じた内在mRNAは、そのRNA配列やコードするペプチド配列が翻訳機構に十分に適応していないため、翻訳に困難を伴う場合があります。このような翻訳困難性はタンパク質合成を阻害するだけでなく、リボソームの衝突を引き起こすことでストレス応答や細胞死を誘導し、生体システムに悪影響を及ぼします。

本研究では、生体システムを攪乱する翻訳困難なmRNAを翻訳perRNAとして捉え、その包括的な理解を目指します。小型淡水魚ゼブラフィッシュをモデルとした翻訳動態解析系を用い、様々な発生時期や組織・器官において翻訳perRNAとなるmRNAの特徴を明らかにします。また翻訳perRNAが細胞内の品質管理機構によって感知・識別されるメカニズムと、その管理が破綻した場合に生体に及ぼす影響の解明を目指します。さらに生物種横断的な比較解析から進化の過程で起こった翻訳perRNAの獲得・消失イベントを調査し、翻訳perRNAのデータベース化に貢献します。