ヒトゲノムの約17%は、ゲノム上に散在するレトロトランスポゾンLINE-1で構成されています。このうち約8,500個のLINE-1配列は内在性プロモーターから自律的に転写されRNA産物が生成しますが、これらの生理的意義はほとんどわかっていません。近年、LINE-1由来RNAが、発達障害や統合失調症など精神疾患の病因や病態に関係していることが分かりつつあり、神経細胞の恒常性を攪乱するRNA(perRNA)として負の機能を持つことが示唆されています。本研究では、ヒト死後脳試料、動物モデル、公共データベースを利用した解析を通して、精神疾患関連ハイリスクLINE-1由来RNAを同定し、発現制御の基盤やperRNAとしての機能を明らかにしていきます。
