なぜ、地球上には、さまざまな環境へ進出できる生物種と、できない生物種がいるのでしょうか?本研究では、新規環境への進出を促進、または、拘束する機構として、生体の恒常性を乱す「撹乱RNA(perRNA)」に着目します。異なる環境進出能力を持つトゲウオ科イトヨ2種をモデルに、さまざまな環境ストレス下でのRNAの発現・翻訳動態の網羅的な解析を行い、種間で異なる生体の恒常性の撹乱をもたらすperRNA群を同定します。次に、これらの中で中心的に機能するコアperRNAを同定し、これらをコードするゲノム領域が野生集団で受けている選択圧を推定します。さらに、コアperRNAが生体の恒常性を撹乱する分子経路を解析するとともに、ゲノム編集によるperRNAの機能解析を行います。また、人工生態系を用いた進化実験により、これらのperRNAがCo-opt化して新規環境進出を促進するかも検証します。
