ウイルス由来撹乱RNAの内在化メカニズムの解明

牧野 晶子

牧野 晶子

京都大学医生物学研究所 准教授

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私たちは、一本鎖RNAウイルスであるボルナウイルスが生殖細胞へ攪乱RNA(perRNA)を挿入し、宿主ゲノムを経世代的に改変する仕組みを解明することを目的とします。精巣に持続感染するボルナウイルスをモデルに、①感染精巣組織を時空間分解能の高いマルチオミクスで解析し、内在化標的細胞と抵抗性細胞を特定、②培養精子幹細胞で内在化を制御する宿主因子とウイルス側配列の特徴を抽出、③易内在化精子幹細胞の移植と交配を通じて経世代内在化の実態を検証します。本研究は、ウイルスと宿主の共進化の核心に迫り、生命現象を新たに捉え直す「攪乱RNA学」を創成することを目指します。領域内では分担班と連携し、デジタルPCRによる超低頻度挿入の定量、空間トランスクリプトーム解析、全ゲノムメチル化解析など最新技術を結集します。また得られたperRNA配列はデータベース化し、広く研究コミュニティに公開することで、内在化現象の予測モデルの構築を推進します。