生体内環境を攪乱するRNAの空間プロファイルを網羅的に解析する技術の開発

伊藤 由馬

伊藤 由馬

九州大学生体防御医学研究所 助教

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 細胞の恒常性を乱すperRNAの機能を理解するには、その配列や発現量だけでなく、細胞内のどこでどのように作用しているかという空間情報の解明が不可欠です。しかし従来のRNA-seq解析では、この空間的な側面を捉えることは困難でした。

 本研究では、perRNAの空間的機能を包括的に解明するため、lncRNA特化型RNA-seqFISH技術と、連続免疫染色技術を統合した空間マルチオミクス技術を開発します。この技術により、約200種類のRNAと数十種類のクロマチン修飾を単一細胞レベルで同時に可視化することが可能です。さらに、AI画像解析による核内分布パターンの定量化により、空間的特徴に基づくperRNAの新たな分類体系を確立します。摂動を与えた細胞に本解析を適用し、perRNAが引き起こす細胞状態異常の因果関係を解析します。

 本研究により、従来の解析では見えなかった空間的異常という新次元でperRNAを評価する基盤が構築されます。本技術の網羅的な空間情報は攪乱RNAデータベースへの統合を通じて攪乱RNA学の創成に空間生物学的視点をもたらすことが期待されます。