公募情報

令和8年度ー令和9年度を対象とした「公募研究」を募集します。

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科学研究費助成事業-科研費-の公募について:文部科学省

400万円/年を20件採択予定です。

領域の概要

生物は、自らのシステムを撹乱するようなRNAの侵入や発現に対して、排除・抑制する機構を発達させ、時に取り込み流用 (Co-opt化)することで、長い時間をかけて適応してきました。本研究領域では、外来性・内因性を問わず生命システムを撹乱するRNAの一群を撹乱RNA (perturbing RNA; perRNA)と定義し、異分野の研究者が結集することでその特徴付けを行い、perRNAの制御機構とその破綻による疾患や環境変化に対する適応などの包括的理解を目指します。ウイルス・細菌などに由来するRNAから生体撹乱能を持つ外来性perRNAを抽出したり、レトロトランスポゾン由来RNAや内在2本鎖RNAの中から主体的に生命システムを撹乱するリスクのある内因性perRNAを特徴付けるなど、従来の分類とは異なる角度からRNAの再定義に挑戦します。

公募する内容、公募研究への期待等

A01『撹乱RNAの同定と特徴付け』では、情報解析を駆使して、公共データベースや各計画・公募研究班の研究により得られた実験データから、特定の生体撹乱能に基づいて一群のperRNA候補を抽出し、更に機械学習を活用することで、配列、構造、動態などの特徴付けを行います。

A02『撹乱RNAを操る分子機構の解明』においては、perRNAを排除・抑制する機構や、宿主が取り込むことによって共存を可能としたCo-opt化機構の包括的理解を目指します。

本研究領域では、バイオインフォマティクス解析、完全長RNAライブラリー作製、クライオ電顕解析、ゲノム編集マウス作製などの多彩な技術支援を用意しており、単独では困難な新たな研究アプローチ法の積極的活用をバックアップします。

特に、以下のようなテーマを中心に公募研究を募集します。

1.多様なウイルスや生物種におけるperRNAの特徴やこれを操る分子機構を解明する研究

様々なウイルスや生物種、特に細菌、酵母や植物などを対象とした研究、あるいは、特定の環境下で顕在化するperRNAとその生体撹乱リスクへの適応モデルとなる研究は、perRNAの全体像を捉える上で重要な課題と考えています。また既存のRNAカテゴリーにとらわれない新たなperRNAの探索的研究提案も歓迎します。

2.内因性perRNAが関与する疾患や生理機能研究

発生・発達過程、老化過程や様々ながん種においては、抑制されていた内因性perRNAが発現し、代謝や病態の進展に大きく関与していることが予想されるため、多様な生理現象や疾患に着目した提案を期待します。また、自己免疫疾患・アレルギー疾患や神経変性疾患などの難病におけるperRNAを介した制御機構研究や、これらを標的として治療モダリティを提唱する研究も歓迎します。

3.公共のトランスクリプトームデータからperRNAを抽出する研究

幅広いウイルス種や疾患などを対象とした公共トランスクリプトームデータからのperRNAの網羅的探索と特徴付けを行うin silico研究は、最終的な生理的影響予測の精度を高める基盤情報となるので歓迎します。また、機械学習の活用等により、perRNAの生理的影響の予測を可能にする独自のアルゴリズム開発研究の提案も期待します。

なお、スプライシング異常や変異を伴ったmRNAから翻訳されたタンパク質による生体撹乱は、perRNAの定義上、原則的に本研究領域の対象外とします。

皆様からの応募をお待ちしております。